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近年、「セルフネグレクト」という言葉を聞く機会が増えていませんか?孤独死やゴミ屋敷とも関係の深く、決して他人事と言い切ることは難しい問題です。また、高齢者だけでなく若い層にもセルフネグレクト問題は広がりをみせており、近隣にもそういった方がいる可能性は十分にあります。
ここでは、今、誰もが知っておくべきセルフネグレクトの基礎やその対応についてお伝えしていきます。
セルフネグレクトは自分自身の生活を放棄してしまうことを指します。つまりは、適切な食事や通院、入浴や歯磨きなど清潔を保つ行為、人間関係などを放棄し、自分に全く敬意を払わない生活です。
何らかの原因で引きこもってしまい、外に出るのが億劫、人と関わるのが嫌で無気力に過ごしていることからスタート。初めのうちは「明日こそちゃんとしよう」と思いつつそのままの生活を続け、栄養や清潔が徐々に悪化していく悪循環から抜け出すことが難しくなります。徐々に悪化していくため感覚が麻痺し気づくことができず、ある日自分ではどうすることもできない特殊清掃の水準へと達してしまうのが怖いところです。
だれもがセルフネグレクトとなる可能性がありますが、特に注意したいのは
・家族だけでなく地域や近隣から孤立している方
・大切な家族や友人との死別や離婚で無気力になっている方
・認知症や精神疾患よる認知力や判断力の低下
・アルコール摂取による判断力の低下
・世間体を気にするあまり支援の手を拒否する方
・いじめや家族からの虐待があり心神喪失している方
・経済的に困窮している方
などが挙げられます。原因となる別れや出来事があった方だけでなく、年齢を重ね自分のことが上手くできなくなってきたけれど支援の手を受け入れるのは恥ずかしいという場合も注意が必要です。
セルフネグレクトが軽い状態なら、栄養価を考えた食事をしない、入浴が億劫で何日も同じ衣服で生活するといった程度でしょう。ですが、徐々に感覚が麻痺して衛生状態が悪化し、ゴミ出しなども怠るようになりはじめます。身なりや部屋が荒れても、招く人がおらず気にかける人もいなければドンドンひどい状態へとなってしまい、最終的に手のつけられないゴミ屋敷へとなっていくのです。
初めは床にゴミが落ちているとゴミ箱に捨てていたのに、ゴミ箱がいっぱいになって溢れ出している状態が普通になり、家中がゴミ箱状態へと変わっていきます。それが進むと、ついにはネズミの死骸や残飯が乗った布団で寝起きしていても平気になってしまうのです。誰もが最初からゴミ屋敷で暮らして平気な訳ではなく、徐々に感覚が麻痺していくというのが大きな原因です。
また、家の中の変化だけでなく、体調に異変があっても保険証が見つからない、人前に出られる身なりでない、所持金がない、寝ていれば治るかもしれないと受診を拒むことで孤独死へとつながります。
近隣の方や家族ともつながりがないため発見されにくく、未然に防ぐことも難しいのが現状です。
これまで高齢者の問題と思われてきたセルフネグレクトですが、ネットが充実してリアルなふれあいの少ない若者にもその数が増えてきています。
30代女性のケースを書いた記事をみてみると、仕事を持って一人暮らしをしていた彼女は激務で寝に帰るだけのような生活をしていました。疲れ切っていて入浴できない日もあり、ゴミ出しができない日も続きます。徐々にゴミが溜まり、忙しさのあまり友人からの誘いも断ることが増え、関係が希薄となっていきました。
両親とは時折電話をしていましたが、そんな生活では心配するだろうと悩みを打ち明けることはできなかったようです。
そんな生活を続けていた彼女が何日か無断欠勤をしたため同僚が訪ねたところ、ゴミ屋敷化と孤独死が発覚しました。
友人や両親に打ち明けていれば、もしかしたら防げたかもしれないと考えると切ないですね。
頭ごなしに否定してはいけません。心を開いてくれなくなり、逆効果となってしまうでしょう。
決して望んでセルフネグレクトしているのではなく、陥ってしまっているということを忘れず接することをおすすめします。
セルフネグレクトしている方が心を開ける方に話をしてもらうと受け入れやすいというメリットがあります。
そういった方がいない場合は、地域を担当する役所の方や保健師さんなどプロに相談するのもいいでしょう。
自治体によってサービスに違いがありますが、地域包括支援センターを設置している自治体ならぜひその門をたたきましょう。設置していないなら福祉事務所やホームヘルパーを依頼するのも効果的です。個人だけでなんとかするのは限界があるため、プロに相談したり支援サービスを利用することも大切です。
もし、近隣に気になる方がいれば声を掛けるだけでも改善するかもしれません。現代においても、人は人とのつながりを切って生きていくのは難しいことなのです。