セルフネグレクト

セルフネグレクト

セルフネグレクトとは

現代で大きな問題となっている【ゴミ屋敷】や【孤独死】 この問題と密接な関係があるのが【セルフネグレクト】です。
実際のところ、生じている孤独死の8割は、セルフネグレクトがその原因であると言われています。
セルフネグレクトという言葉を聞いたことが無い方が多数いらっしゃると思いますが、誰もがなりうる症状です。
メモリアルが孤独死又は遺品整理でご依頼をお請けした時もセルフネグレクトであろう方のお部屋が多数ありました。
ニュースでも取り上げられるようになってきた【セルフネグレクト】を皆様にも知って頂きたいと思います。

セルフネグレクトとは

•セルフ=自分、自身、自我
•ネグレクト=無視すること、怠ること、放棄すること
セルフネグレクトとは【自己放任】という意味です。
わかりやすくいうと自分への関心が無くなる事です。
日常生活を営もうとする意欲や生活能力を喪失し、自己の安全や健康が脅かされる状態となること。
例えばお風呂に入るのがめんどくさい。ゴミを捨てるのがめんどくさい。人と会いたくないなど。
そう思ったことがある方は多くいらっしゃると思います。それでも寝て起きたら気持ちが回復していたり、人に指摘され改善しようとするものです。セルフネグレクトはその状態が酷くなり自分でもどうにもならない、改善しようとする気すら起きない状態です。
セルフネグレクトは誰にでも起きる可能性があります。

セルフネグレクトの症状

主に次のような症状が挙げられます。
・部屋の片づけや掃除をしない
・ごみを捨てない
(ゴミ屋敷といわれる環境でも平気で暮らしている。)
・バランスのとれた食事をしない
(インスタント食品ばかりになる。)
・入浴や歯磨きなどを行わない
(不潔だという事に気付かない。)
・同じ服ばかり着る
(洗濯をしない。)
・金銭管理が出来ない
(散財や極端な節約)
・人との関わり合いを拒否する
(身近な人とも接しようとしなくなり自分から孤立状態になろうとする傾向がある。)
などが挙げられます。

セルネグレクトの原因

・孤独さによる意欲の低下
(友人関係・家族関係・地域等からの孤立、家族との離別・死別等を原因とした孤独な状況によって生命維持への意欲を低下させます。)
・経済的問題
(勤労意欲の低下当から離職・失職をして収入を失うなど、収入面での著しい不安が自らの管理放棄に繋がることもあります。 )
・うつ病・ストレスによる抑うつ状態
(肉体的疲労や精神的ストレス、喪失感等が原因となることもあります。自己管理放棄とは「消極的な自傷/自殺」とも言えるものです。 )
・認知症やアルコール依存症
(判断力の低下によって自己管理ができなくなるケースです。主に独居老人等に見られますが、アルコール依存症等については家族と同居している人や若者にも起こります。 )

セルフネグレクトの方はどれくらいいるのか

政府によれば、2011年時点で、セルフネグレクトと思われる人の総計は、1万1千人でした。しかし、東邦大学の岸恵美子教授は、朝日新聞の取材記事(2017年1月20日)に、以下のように答えています(改行位置のみメモリアルにて修正)。

「内閣府の11年の調査で、全国に約1万1千人という推計があります。しかし、これは氷山の一角だと思います。セルフネグレクトは日本だけではなく欧米でも問題になっています。
大規模調査を実施した米国では、高齢者の9%、年収の低い人や認知症の場合は15%に及ぶという結果でした。日本に当てはめれば、65歳以上の人口が3400万人余ですから、優に200万人以上が該当する計算になります。
実態が不透明なのは、自己放置の結果、ごみ屋敷に住んで、生命、健康に深刻な打撃を受ける状態に陥ってしまった人たちを救いあげる制度や法律が整っていないためです。」

上記の通り、これから更に増えていくという予想が出来ます。
自治体も、対処や支援を行っていますが、難しい点のひとつは、本人がセルフネグレクトを改善するための支援を断ることが多いということです。また自治体の職員も人数に限りがありますので、どうしても目の行き届かない場合があります。

【セルフネグレクト】まとめ

セルフネグレクトによる衝撃的なニュースを紹介させて頂きます。
「千葉県北西部で2016年5月、一軒家のごみがたまった一室から、足が壊死(えし)した状態の高齢女性が救出されていたことが分かった。
女性は60代後半で、70代の夫と30代の娘の3人で暮らしていた。
夫はがんを患っており、往診のために医師が昨年4月に訪れたところ、2階にごみだらけの部屋があることに気付き、自治体に連絡。
夫はその直後に亡くなったが、葬儀に女性は参列せず、自治体の職員が安否確認のため娘に「お母さんに会わせてほしい」と依頼した。しかし、娘は「母は会いたくないと言っている」と拒んだという。
女性は定期的にかかりつけ医に診てもらっていたが、ここ1年半ほど受診歴がなかった。
警察官による周辺への聞き込みで「最近顔を見ていない」などの証言を得た。
生命や健康が損なわれている事態も予想されたことから、5月12日、警察官数人が保健師らとともに女性宅に踏み込んだ。
女性は2階の部屋でレジ袋やペットボトル、ヨーグルトのカップ、おにぎりを包んでいたアルミホイルなど大量のごみに埋もれ、あおむけに顔だけを出していた。
警察官が声を掛けると「大丈夫です」と返事をしたものの、自ら動けない。救助工作車とレスキュー隊が出動し、病院に救急搬送。女性の両足の先端部は真っ黒な状態で壊死していた。」

セルフネグレクトの怖いところはこの状態でも助けを求めない、助けてもらいたいと思わないというところです。

セルフネグレクトは無気力状態であり、見ようによってはだらしがないだけだと判断されがちです。
でも実際に自分の家族がセルフネグレクトになったら、その現実を直視した上で対処して行かなくてはなりません。
自治体のサポートを活用をするのも手です。
セルフネグレクトの方と向き合うには辛抱強さが不可欠です。
気持ちに寄り添い、どうしてそうなってしまったのか?を一緒に考え、同じ歩幅で歩いてあげるような感覚や接し方が、セルフネグレクト改善への第一歩ではないでしょうか。

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